物流業界における生成AIの可能性
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物流業界において、生成AIがどのような業務に利活用できるかを徹底解説。

ChatGPTをはじめとする、昨今の生成AIの発展スピードは凄まじいものがあり、エンタープライズからスタートアップまで、さまざまな業務に取り入れられ始めています。
その一方で、生成AIの仕組み・特性を理解した上で、本当の意味で業務に利活用できている企業はほとんどないと言っても過言ではありません。今回は物流業界に着目し、生成AIがどのような業務に利活用できるかを考察しました。
物流における生成AIを活用し得る業務
1. リアルタイムの物流情報の把握
多くの物流会社では、出庫や入庫に関する情報を在庫管理システムの導入により管理していると思います。
そのデータを生成AIが解釈・分析できる形に変換し管理することで、チャット上で質問した時に在庫状況の回答を得ることができるでしょう。また、既存のシステムが一つしかない場合はアプリケーション上で完結するかもしれませんが、複数のシステムを使用している場合は、統合した情報を参照しにいく必要があります。
こうしたデータの統合や分析は生成AIの得意領域であり、その結果を自然言語による質問から得れるようになれば、業務効率が向上するはずです。既存のシステムで車両やドライバーの稼働状況や商品の在庫状況が更新される仕組みがあるならば、それらの情報を生成AIが参照しに行き、回答を生成することができます。急な配達が必要になった際に、「現在このエリア内で稼働できるドライバーをリストアップして」といった質問に応答する、と言った使い方です。(あくまで例です。)
2. 物流業界や社内特有のルールを教え込ませたチャットBot
生成AIを活用することで、世間一般では扱われないようなルールや自社のドキュメントを学習させ、その情報を参照させるチャットBotを作ることが可能です。
ChatGPTのようなチャットBotは、間違った情報を提供してしまう(ハルシネーションと呼ぶ)ことがしばしばあります。しかし、チャットの仕様としてどのドキュメントを参照して回答を生成したかを表示することは可能です。
チャットBotの構築には、なるべく正確性の担保されるような設計にすることと、運用する中で精度を改善するような仕組みがあると尚良いでしょう。具体的には、人間による回答のフィードバックを与えたり、そもそも特定の情報にしか参照しないような構成にする、などです。

3. 既存のAIツールの統合・分析
物流業界におけるAIの活用は近年活発化しており、配達ルートの最適化や配送計画などはよく挙げられる例です。すでに自社で活用しているAIツールが出力したデータを、統合したり分析したりすることが生成AIによって可能になります。ルートの最適化であれば、これまで走行したルートに対し、天候情報や季節、時間帯による混雑状況などを加味した上でどれくらいの時間・燃料消費がされたかという情報が残っているはずですので、これらの情報を統合・分析させることが生成AIによって可能になるはずです。
AIツールに限らず、企業ごとにどのようなツールを導入しているかは異なるため、データをどのように保持・統合させるかが重要なポイントとなるでしょう。ここでは生成AIが解釈しやすい形にデータ構造を加工する必要があるため、生成AIの入力と出力の仕組みに精通しているコンサルタントやエンジニアが豊富な企業と一体となり作り上げていく、プロジェクト型の進め方が理想的でしょう。
4. AI-OCR技術を組み合わせた手作業の省力化
伝票や帳票などのテキスト情報をOCR技術(PDFや画像からテキスト情報を抽出する技術)で抽出し、生成AIがそれを元にデータの加工や文章生成をすることで、理論的には既存の手作業が自動化できるようになります。最もわかりやすいのは、請求書の管理から経理情報を集計する作業です。この領域では、生成AI側に問題があるというよりは、生成AIが扱う情報がそもそも適切に抽出・加工できていない、というOCRの精度の問題があります。弊社では「Gleaner」というツールを開発しており、99%のOCRと1%の手作業により、生成AIに参照させる情報の精度をできるだけ完璧なものにし、チャットBotと一体で使用することが可能です。
紙媒体がメインで業務を行っている場合は必ずしも生成AIを組み込ませる必要はなく、OCR技術の活用だけでも相応の省力化が見込めるかもしれません。
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