物流の監査業務を自動化するAIソフトウェア:Solvento
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物流の監査業務が、AIによりどのように自動化されるのかを徹底解説。
物流業界では、請求書の監査業務と支払い作業が手動で行われているため、配達の請求が適切かどうかを確認し、買掛金の処理をするのに数日から数週間かかることがあります。
請求書を発行した運送業者にとっては、売掛金の回収に時間がかかることで資本回転率が低下するため、ドライバーに報酬が還元される期間が長くなり、資金繰りが厳しくなったり、配送そのものの回転率が向上していかない、という課題があります。
今回は、物流業界におけるこうした監査業務を、AIで自動化するSolventoというスタートアップを紹介します。
Solventoの概要
Solventoはメキシコ発のフィンテック企業であり、物流におけるトラック運送部門向けに決済サービスを提供するスタートアップです。
Solventoは12月6日、Lendableから5000万ドル(約72億円)の融資と、Quona Capitalから350万ドル(約5億円)の資金調達を完了したことを発表しました。また、この発表と同時に、荷主やトラック運送業者の買掛金プロセスを自動化するAIソフトウェア、「Solvento Audita」をローンチしました。
冒頭でも少し触れましたが、メキシコとラテンアメリカの物流業界は、時間を要する監査業務が資金流動性の低下と配送効率の悪化という業界全体の課題を引き起こしています。
クレジット、決済、ソフトウェアのサービスへの需要が高まる中、Solventoの実績は過去2年間で20倍に増加しており、その成長を続けています。
Solventoのソリューション
SolventoのAIソフトウェアは、請求書のPDFをアップロードするだけで必要なデータを自動で抽出するという便利な機能を核としています。
アップロードされた請求書は、特定の運送業者の配達と関連付けられているため、配達と請求の一連の流れを効率的に管理できます。従来は、こうした管理が人手で行われており、人力によるミスが生じることも少なくありませんでした。
そして通常はここから、受け取った請求書の内容と金額をチェックし、その正当性を監査する工程が続きます。
これまではこの監査業務に人件費と時間を要していたのですが、Solvento Auditaを利用すると、配達のルートや稼働時間などを示すデジタル化された配達証明書(POD)を集めることができ、これらの情報を請求内容と照合することで、その正確性をスピーディに検証することが可能になります。
また、Solvento Auditaは、クレジットヒストリー(ローンの利用履歴と、それに基づく信用情報)がなくても利用可能な融資機能も備えており、荷主や運送業者が緊急時にも迅速な支払いを行うことができます。ただし、利用された日数に応じて利息が発生する点には注意が必要です。
サードパーティとの連携を可能にするAPIの提供
Solventoは、請求書やPODのデジタル管理と融資機能に加え、他のシステムからSolvento Auditaの機能が使えるようにするために、APIを提供しています。
これにより、請求書が他のシステムで管理されている場合でも、SolventoのAPIを通じてデータの抽出や請求情報の検証などの機能を利用することができます。
さらに、SolventoのAPIは監査業務の検証だけにとどまらず、運送業者の登録、支払い指示の作成、配達情報の記録など幅広い機能を提供しています。これにより、企業は自社専用のユーザーインターフェースを構築してこれらの機能を利用することが可能です。
まとめ
Solventoは、請求書を取りまとめた後に必要な監査業務を自動化することで、買掛金の回収プロセスを自動化していることがわかりました。
APIの提供によりシステム間の統合が可能になりますが、ユーザーはその際に、データの加工や整形を行う必要があります。これは生成AIが得意とする分野であり、将来的にはさらに多くの機能が追加される可能性があります。
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